データサイエンティストが解説するGA4とMicrosoft Clarityの基本概念
自給自足型データ基盤構築ラボのフェーズ1において、サイトの健康状態を測る「神経網」としてGoogle アナリティクス 4(GA4)とMicrosoft Clarityを導入しました。
今回は、データサイエンスの視点から、これら2つのWeb分析ツールの基本概念とデータ構造の思想について深く掘り下げてまとめます。
GA4のデータモデル:すべては「イベントログ」である
従来の古いGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス:UA)は、ページが読まれた回数(ページビュー:PV)を主軸とした『点』の集計システムでした。しかし、モダンなWebアプリやSPA、スマホアプリが全盛となった現代に対応するため、GA4は**「すべてのユーザー行動をフラットなイベントとして1行ずつログに落とす」**という、データサイエンティストにとって非常に扱いやすいクリーンなスキーマに進化しました。
GA4を理解する上で、以下の4つの階層・概念の違いを整理しておくことが不可欠です。
1. データストリーム (Data Stream)
データの「蛇口(入り口)」です。今回のブログサイト(Web)、将来的に作成するかもしれないiOSアプリ、Androidアプリなど、計測対象となるプラットフォームごとにストリームを作成し、データを1つのプロパティ(箱)に流し込みます。
2. ユーザー (User)
サイトを訪れた「個人の識別」です。ブラウザのCookie(クッキー)やデバイス固有の識別子を利用して、「今アクセスしている人と、昨日アクセスした人は同じ人か?」をシステムが判定します。一意のブラウザを1ユーザーとしてカウントします。
3. セッション (Session)
ユーザーの「1回の訪問(一連の滞在行動)」を指します。サイトを開いてから、記事をいくつか読み、30分以上何も操作しなくなるかブラウザを閉じるまでの一連の時間を1セッションとしてまとめます。
4. イベント (Event)
ユーザーがサイト内で行った**すべてのアクション(点)**です。
GA4では、ページを開いた(page_view)、画面を一番下までスクロールした(scroll)、リンクをクリックした(click)など、あらゆる行動がフラットにイベント名として定義され、タイムスタンプやパラメータ(どのURLか、どのリンクか)を伴ってログに記録されます。
Microsoft Clarity:定性データの最強補完
GA4が「何人が、どこから来て、何回クリックしたか」という定量(数値)データを測るのに対し、Microsoft Clarityは「ユーザーがどこで迷い、どう画面を動かしたか」という定性(行動)データを可視化します。
- ヒートマップ機能: 読者のマウスの動きや、スマホでのタップが多かった場所をサーモグラフィーのように赤く可視化します。これにより、「アフィリエイトリンクの近くまで来ているのに、なぜかクリックされていない」といったボトルネックが一目でわかります。
- セッション録画機能: ユーザーの画面の動きをそのまま動画のように再現します。データ分析における「n1分析(一人の具体的な行動を徹底的に深掘りする手法)」をWeb上で完璧に実現できます。
データサイエンスへの展望
GA4やClarityによって記録されるこれらの「ユーザー行動ログ」は、フェーズ5において**「そのユーザーが将来アフィリエイトリンクをクリックするかどうかを予測する機械学習モデル(LightGBMなど)」の貴重な特徴量(インプットデータ)**となります。
ただツールを入れて数値を眺めるのではなく、「裏側でどんなテーブル構造のデータが生成されているか」を常に意識することが、自給自足型データ基盤の第一歩です。